わっぱーのブログ

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ニキシー管の歴史

皆さんはニキシー管をご存じだろうか?

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 ネオン式数字表示放電管(別名:Nixie、ニキシー管、ニクシー管)は1956年に米国バローズ社(Burroughs corporation)が発明した冷陰極グロー表示管である。

なぜ"別名:Nixie"にしたのかと言うとNixieというのはバローズ社の商品登録名のため[1]技術名ではない。そのため日本製のニキシー管等にはIndicator tubeなどの名前で販売されている。現在ほとんどの方がニキシー管という愛称で呼ぶためこのサイトでもこちらを用いる。

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ロダン CD43 TubeWorksより ちなみにRODANは岡谷電機のブランドである

 

 この発明前の数字管は数字を表示するのではなく針などで数値を表示する方法がとられており不便であった。そのためそのまま数字を表示できるニキシー管は世界に普及し、バローズ社が販売した後追うようにイギリスや日本でも開発が始まった。

 

 日本では1958年ごろから岡谷電機、日本電気(現NEC)で始まり、1960年代にはニキシー管は電卓、測定器の表示管に多く使われるようになった。そのため需要が急増し1968年ごろではたため松下電子(現Panasonic)、日本無線日立製作所などが開発をはじめ1970年には生産量が2千万個でピークを迎えた。[2]

下記の動画ではニキシー管が用いられた電卓が紹介されている。

 

youtu.be

 初期のニキシー管はスパッタリングによる消耗が激しく動作寿命が短かった。この対策として日本電気は水銀蒸気を加えることで消耗を抑制することが分かりこの技術はその後のほぼすべてのニキシー管に用いられることになる。

 

二キシー管の時代が到来すると思いきや蛍光表示管(VFD管)の普及、更にバローズ社との特許戦争が要因で日本では(岡谷電機を除く)ほとんどの会社が1985年には生産が終了してしまった。残念…

 

以上ニキシー管の歴史であった。

 

参考文献

[1]アメリカ商標 72020699

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[2]日本電子機械工業会電子管史研究会編『電子管の歴史 --- エレクトロニクスの生い立ち---』オーム社 1987.